稀勢の里12勝なら秋場所綱とり復活
「大相撲名古屋場所12日目」(18日、愛知県体育館)
稀勢の里は琴欧洲との大関対決を浴びせ倒しで制し、9勝目を挙げた。北の湖理事長(60)=元横綱=は、稀勢の里が今場所12勝した場合、秋場所(9月15日初日・両国国技館)に綱とりがかかるとの見解を示した。完全消滅した綱とりが急転復活。横綱白鵬は大関琴奨菊を上手投げで下し全勝を守った。白鵬は13日目に琴欧洲を下し、2差で追う平幕の碧山が敗れると、歴代単独3位となる26度目の優勝が決まる。横綱日馬富士は大関鶴竜を寄り切り、勝ち越しを決めた。
稀勢の里の調子が上がってきた。立ち合いで琴欧洲に右に動かれても動じない。左四つから相手が右を巻き替えた瞬間、一気に寄り進んで最後は浴びせ倒した。「慌てることなく自分から攻められた」とうなずいた。
前半で3敗を喫し、綱とりが完全消滅してから5連勝。硬さを問われると「内容が全然違う。どこかに弱さがあるのでしょう。自分は変わらずやっているんですけど」と反省を口にした。
ところが、大関の強さが戻るとともに事態が急転した。北の湖理事長(元横綱)は、打ち出し後に「12勝したら先場所の13勝とつながる。来場所は優勝といっても厳しくなりますが。(綱とりを)印象づける大事な3日間です」と断言。12勝した場合は秋場所に綱とりがかかり、高いレベルの優勝ならば、昇進を認める意向を示した。
平成以降、連続して12勝以上を挙げても優勝および優勝同点がなく、綱とりが継続した事例はない。それでも、3代目若乃花以来となる、15年ぶりの和製横綱を待望する協会内の事情が後押ししている。
帰り際に理事長の意向を知らされた稀勢の里は「ああそう」と無表情で反応。すぐに「調子も上がってきたし、体も動いてきた。自分なりにやれることをやるだけ」と意気込みを示した。白鵬の優勝がほぼ見えた今場所が突然、熱を帯びてきた。