福士が銅!“お家芸復活”へけん引だ

 「世界陸上」(10日、モスクワ)

 “お家芸”復活ののろしだ!女子マラソンが行われ、“トラックの女王”福士加代子(31)=ワコール=が、2時間27分45秒で3位に入り、日本に2大会ぶりのメダルをもたらした。エドナ・キプラガト(ケニア)が2時間25分44秒で史上初の連覇を飾った。ロンドン五輪代表の木崎良子(28)=ダイハツ=が2時間31分28秒で4位入賞。金メダルを獲得した04年アテネ五輪以来9年ぶりの世界大会となった野口みずき(35)=シスメックス=は、33キロ地点で無念の途中棄権となった。

 5度目のマラソン、初めて福士が笑顔で帰ってきた。3位でトラックに入りメダルを確信すると、ラスト1周から何度も何度もガッツポーズを繰り出し、歓喜のゴールに飛び込んだ。レース後のインタビューでは「皆さん、取りましたぁ~。凄いじゃん、頑張った、ほんと頑張った・こんなに最後のトラックをうれしく走れたことはない」と、“福士節”をさく裂させ、喜びに浸った。

 5人の派遣枠を使い切らない荒療治を敢行して臨んだ日本女子マラソン。背水の陣となった大会で“トラックの女王”が覚醒した。気温30度を超える過酷な条件の中、福士は序盤から先頭集団に付く積極的なレースを展開。しかし、これまでの大失速を見せてきた3度の大阪国際女子マラソン同様、30キロ過ぎから失速し、先頭集団から一時大きく離された。

 ただ、ここからは今までと違う福士だった。その後、先頭集団から落ちてきたエチオピア選手が視界に入ると、再びギアチェンジ。「前がいると元気になった。これが(今まで失速してきた)昔の私かと思って」。前を行く選手をかつての自分に重ね、必死で追い、かわした。過去の自分を乗り越えたところに、悲願のメダルはあった。

 レース前には同じ代表だった野口と、スイスで合同合宿を行い、五輪金メダリストからマラソンに臨むノウハウを吸収。無念の途中棄権となった盟友の思いも背負っての魂の走りだった。

 日本女子マラソンにとって、実に4年ぶりの世界大会のメダル。低迷期脱出のきっかけをつくった。「銅でごめんなさい。でもいつの日かね」と豪快に笑った31歳が、再び黄金時代へけん引する。

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