中本が健闘5位入賞、川内は遅れ18位
「世界陸上・男子マラソン」(17日、モスクワ)
男子マラソンはロンドン五輪6位の中本健太郎(30)=安川電機=が2時間10分50秒で日本勢最高の5位に入賞した。同五輪金メダルのスティーブン・キプロティク(ウガンダ)が2時間9分51秒で優勝した。藤原正和(ホンダ)は2時間14分29秒で14位、前田和浩(九電工)は2時間15分25秒で17位、川内優輝(埼玉県庁)は2時間15分35秒で18位だった。前回7位の堀端宏行(旭化成)は途中棄権した。
最後の最後にポーカーフェースが崩れた。前を走っていた4位のエチオピア選手を捉えきれないままフィニッシュに顔がゆがむ。ロンドン五輪よりも1つ順位を上げた5位、世界大会2大会連続入賞にも悔しさが先に立った。
「ロンドンよりも1つ上げられた。5位には満足してます。でも、もう1人抜きたかった…」。日本勢8年ぶりのメダル獲得はならなかった。ただ、この男の走りは、日本男子マラソン復権への可能性を感じさせた。
過去10度のマラソンで10位以下のない“ミスター安定感”が、その真価を発揮した。序盤から涼しい顔で先頭集団に取り付くと、30キロ過ぎのペースアップに一度は大きく離されたが、慌てず騒がずの冷静な粘りで35キロ過ぎに先頭集団に復帰。メダルまであと一歩のところまで粘り込んだ。
2月の別府大分マラソンで、川内優輝と壮絶なスパート合戦の末、2位に惜敗。今大会に向け、終盤競り負けないスピード練習を積んできた結果、アフリカ勢とも対等の勝負を繰り広げた。
昨年6月、長男の理久ちゃんが生まれたことも刺激になった。「過去の経験がある分、ゆとりがある。経験を生かしてやりたい」と話していた30歳のパパは、世界のトップと堂々と渡り合った。
「メダルの背中は35キロまで見えていたけど、そこからが世界との差。今後も世界を目指して頑張る。この経験をこれから生かしていく」。いつもどおりの淡々とした口調の中に、日本をけん引する覚悟がにじんでいた。