太田男泣き!オール日本スポーツの力
IOC総会で7日(日本時間8日)、2020年夏季五輪が東京に決まった瞬間、東京招致委員会のメンバーが喜びを爆発させた。16年五輪に続く招致に挑んだ東京は、IOC委員による投票で1回目にトップとなり、イスタンブールとの決選投票で大差をつけた。総会での最終プレゼンテーションでは安倍晋三首相や東京都の猪瀬直樹知事とともに、ロンドン五輪フェンシング男子銀メダルの太田雄貴(27)=森永製菓=も登壇して選手重視の開催計画をアピール。オールジャパンで悲願を達成した。
その瞬間、歓声がはじけ、五輪銀メダリストが男泣きした。
ロゲIOC会長が五輪マーク入りの封筒をゆっくりと開け、「トーキョー」と読み上げると、いすに座って朗報を待っていた安倍首相や猪瀬都知事らは一斉に両手を突き上げ、立ち上がった。
最終プレゼンテーションに登壇したフェンシング五輪銀メダリストで招致アンバサダーの太田は両手でガッツポーズ。隣のメンバーと抱き合い、手でぬぐった涙が止まらない。招致を競ったイスタンブール、マドリードの関係者もいる発表会場で、東京の関係者が占める一角だけが沸いた。
投票直前の最終プレゼンテーションで、東京は「安心、安全、確実な五輪」に加え、一度は封印した東日本大震災からの「復興五輪」を開催意義の一つとして「情感」に訴えた。
久子さま登壇 約100人のIOC委員にアピールする最後の場。冒頭で高円宮妃久子さまがフランス語と英語で被災地支援への謝意を述べられ、会場の雰囲気が引き締まった。
続いて宮城県気仙沼市出身でパラリンピック陸上の佐藤真海が登場して発言者を1人ずつ紹介すると、盛大な拍手が起こった。佐藤は震災の津波で実家が被害を受けたことを明かし「スポーツには笑顔や希望、人々を結びつける力がある」と呼び掛けた。「日本としては百点満点」と自賛するプレゼンだった。
招致委の竹田恒和理事長は「隠し玉」と用意した10年の第1回ユース五輪で金メダル第1号となったトライアスロン女子の佐藤優香を紹介し「五輪の価値を若い世代に受け継ぎたい」と情熱的にアピール。「東京に1票を」と繰り返した。
貫いたテーマはロンドン五輪でも日本選手の活躍が被災地を勇気づけた「スポーツの力」。安倍首相は懸念される東京電力福島第1原発の汚染水漏れについて「政府が責任を持って対処する。私たちは決して東京にダメージを与えない」と説明し、オールジャパン態勢の支援を約束した。