【東京五輪の星になれ】レスリング・須崎優衣
須崎は、レスリングが五輪の実施競技に残留したことを心の底から喜んだ。「オリンピックは目標の場所。目標を失わないでよかった」。“審判の日”を乗り越え、初々しい笑顔を見せた。
早大レスリング部出身の父・康弘さんの影響で、7歳から千葉県の松戸少年クラブで競技を始めた。そのころ、吉田が08年北京五輪で金メダルを取ったシーンをテレビ観戦。「かっこいい。自分も吉田選手のようになりたい」と、競技へのモチベーションを高めた。
小学生から抜きんでた才能が光り、日本協会は中学進学時にJOCエリートアカデミー入りを勧めた。もっとも、親元を離れるのに時間を要し、通常より1年遅れて中学2年生からの入校となった。成績は素晴らしく、全国中学選手権を1、2年時に連覇。全国中学選抜大会は1年時に制し、今年は11月の大会で連覇を狙う。
指導する菅芳松・日本協会事務局長代行は「体の力がすごい。特に足腰。伊調馨の中学時代にそっくり。加えてスピードもあるし、タイミングの取り方も抜群。確実に出てくる選手」と、素質の高さにほれ込んでいる。
順調にいけば、21歳で東京五輪を迎える。「練習は厳しいけど、目標があるので毎日が充実している。得意のタックルが決まったときは本当にうれしい」。吉田、伊調に追いつけ追い越せ‐。須崎が日の丸を背負う日は、すぐそこまでやってきている。