白井が金「シライ」で内村に勝った!
「体操世界選手権」(5日、アントワープ)
種目別決勝が行われ、男子床運動で白井健三(17)=神奈川・岸根高=が16・000点、男子あん馬で亀山耕平(24)=徳洲会=が15・833点を出し、ともに金メダルを獲得した。初出場の2人は白井が五輪、世界選手権で日本史上最年少の金メダル。亀山があん馬で2003年大会の鹿島丈博以来2人目の世界王者となった。男子床運動で11年の前回大会覇者の内村航平(24)=コナミ=は15・500点で銅メダルを獲得した。
床運動は重圧のかかる最後で演技したが、白井は「緊張しなかった」と平然と言った。高難度の技を繰り出し、新技「シライ」でしめた。世界で一人しかできないF難度の大技が決まると「勝ったなと思った」と確信して両親がいるスタンドに向けて拳を突き上げ、万雷の拍手を細身の体で気持ちよさそうに浴びた。
予選での衝撃デビューに続き、再び世界を驚かせた。演技の難度を示すDスコアでは内村を1点も上回るトップの7・4点。難しさ、完成度を兼ね備え、ただ一人16点台に乗せ「結果が付いてきたので百点満点。種目別でも世界に通用する日本の体操を見せつけられた」と胸を張った。
驚異的なひねりの技術習得の裏には、父の勝晃コーチが器具メーカーに特注した秘密兵器があった。通称タントラと呼ばれる細長いトランポリンのバネ500本を20センチから10センチに付け替え、より床運動のフロアに近い反発力のあるものに変えた。「おそらく日本で最初に開発したのは私。あれで健三の技術が磨かれた」と秘話を明かした。
父は世界的なファッションデザイナー、高田賢三さんのように「世界に羽ばたいてほしい」と願って健三とした。故障を経験した今季から練習ノートをつけ始めた新星は「また新技を試しつつ力強さもある選手にイメチェンしたい」と意気込んだ。輝きを放ったスーパー高校生の夢は尽きない。