やっぱり主役は内村!金×2、銅×2

 「体操世界選手権・最終日」(6日、アントワープ)

 種目別決勝が行われ、男子の平行棒で内村航平(24)=コナミ=が15・666点で林超攀(中国)と同点優勝し、前人未到の4連覇を達成した個人総合との2冠に輝いた。日本勢で平行棒の世界王者は1981年大会の具志堅幸司以来32年ぶり。加藤凌平(順大)は15・025点で7位、ロンドン五輪金メダルのエプケ・ゾンダーランド(オランダ)が初優勝した。鉄棒では内村が15・633点で3位に入り、日本勢は男子が今大会で金4、銀1、銅2のメダル獲得。女子の床運動では村上茉愛(17)=池谷幸雄倶楽部=が14・466点で4位と健闘した。

 終わってみれば内村が主役だった。個人総合4連覇に始まり、種目別では平行棒で金メダル。床運動の銅メダルを含め、決勝進出の3種目全てで表彰台に立ち「種目別は着地勝負で、止めて当たり前と思っていた。平行棒も鉄棒も決められたので目標達成かな」。演技の出来栄えを示すEスコア(実施点)ではいずれもトップ。美しい体操は最後まで輝き続けた。

 平行棒では勝負に出た。床運動とあん馬で日本勢が頂点に立ち「すごくいい流れがきていた」と刺激を受けた。「Dスコア(演技価値点)を上げないとメダルに絡めない」と前夜になり、E難度「屈身ベーレ」を入れて難度を上げることを決断。「金メダルは無理でも3位狙い」のはずが、最高の結果が待っていた。

 予選1位の鉄棒ではG難度「カッシーナ」などの離れ技で華麗に宙を舞った。Dスコアを上げてきたゾンダーランド(オランダ)、ハンブッヘン(ドイツ)には及ばなかったが「後方伸身2回宙返り2回ひねり降り」をピタリと決め、鬼気迫る表情のガッツポーズで締めくくった。

 日本で待つ妻と4月に誕生した長女に金2、銅2と四つのメダルを持ち帰る。「演技する時は自分のことしか考えていない。でも自然にガッツポーズが出たし、カメラにも応えて、無意識に家族に向けたメッセージを出していたと思う」。戦いを終えた最強王者の表情が緩み、素顔がのぞいた。

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