“新星”町田「まぐれとは言わせない」
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ開幕戦「スケートアメリカ」で、世界歴代5位の265・38点で優勝した町田樹(23)=関大=と、4位に終わった高橋大輔(27)=関大大学院=が22日、関西空港に帰国した。圧巻の演技で一躍、ソチ五輪代表の有力候補に躍り出た町田は、GPファイナル出場の懸かるロシア杯(11月22日開幕・モスクワ)で“一発屋”と言わせない勝利を誓った。
まぐれとは言わせない。覚醒を思わせる圧勝劇に浮かれることなく、23歳・町田の瞳は次なる目標に向いていた。「1回の成功では何のアドバンテージにもならない。『町田樹はまぐれだったか』と言われないよう、『必然だった』と言われるようにしないと」。
苦い記憶がある。昨季は中国杯でGP初優勝を飾り、GPファイナルにも進んだが、徐々に調子を落とし、ファイナルで最下位の6位、全日本選手権では9位に終わり、世界選手権代表を逃した。
慢心を捨てるため、世界歴代5位の得点も記憶の片隅においやる覚悟だ。「なかったことにしたい。得点に縛り付けられ、呪いの数字になる恐怖感がある。自分はまだソチまで一番遠い存在。危機感を持ってやりたい」。
GPシリーズの次戦ロシア杯で上位に入れば、五輪代表の選考に入る12月GPファイナル(福岡)出場が決まる。さらなる進化を求め、4回転ルッツへの挑戦も視野に入れた。
実家があるのは、カープのCS出場に沸いた広島。「凄かったですね。その勢いに自分も加われて良かった」。いつも必勝を誓ってきたのは、宮島の世界遺産・厳島神社だ。“一発屋”で終わるつもりはない。カープの応援歌『宮島さん』のように、“今日も町田は勝ち勝ち勝っち勝っち”状態を目指す。