20歳・永瀬がオール一本勝ちで初優勝
「柔道グランドスラム東京大会」(30日、東京体育館)
男女計4階級が行われ、男子81キロ級で20歳の永瀬貴規(筑波大)が初優勝するなど、日本勢が前日に続いて全階級を制した。永瀬は決勝で世界選手権覇者のロイック・ピエトリ(フランス)を足車で破り、5試合全て一本勝ちした。男子73キロ級はロンドン五輪銀メダルの中矢力(ALSOK)が5戦連続一本勝ちで3年ぶり2度目の優勝。女子は70キロ級で20歳の新井千鶴(三井住友海上)が初優勝。63キロ級は決勝で阿部香菜(三井住友海上)が田代未来(コマツ)を下し初制覇した。
パワーとスピードを兼ね備えた強豪がひしめく男子81キロ級で、新鋭が大暴れした。10月に20歳になったばかりの永瀬が全て一本勝ちで頂点に立ち「自分の柔道ができた。この階級でも世界を取れることをアピールできた」と胸を張った。
今夏の世界選手権の金、銀メダリストに加え、ロンドン五輪代表の中井を撃破するなど内容も申し分なかった。決勝は、指導を受けて焦って前に出てきたピエトリの隙を見逃さなかった。「自然と出た」という足車で世界王者を畳にたたきつけた。
81キロ級は2000年シドニー五輪の滝本誠を最後に、世界選手権を含めて優勝がない「日本のウイークポイント」(井上監督)だ。7月にユニバーシアード大会を制したホープの躍進に、井上監督は「『おまえが出てこい』と声をかけ続けてきた。順調に伸びているのをうれしく思う」とたたえた。
夏の五輪や世界選手権に比べ、本調子でない海外勢が多い時期ではある。「立ち技から寝技への移行ができていない」と課題を口にした永瀬は、「1回の優勝だったらまぐれと思われる。本当の勝負はここから」と気を引き締めた。