ロンドン五輪の競泳女子１００メートル背泳ぎと４００メートルメドレーリレーで銅メダルを獲得した寺川綾（２９）＝ミズノ＝が４日、東京都内で記者会見し、「今季をもって選手生活を卒業させていただきます。いまはすっきりした気持ち。幸せな競泳生活を送ることができた」と笑顔で引退表明した。

　最終的に決断したのは９月の東京国体の後。昨年のロンドン五輪で銅メダル２個を獲得した後、引退を一度決めかけたというが、「（メダル獲得により）世界選手権の内定をいただき、チャンスを自ら捨てることができず、もう１年続けようと考えた」。５月ごろから遊離軟骨による右足首痛が悪化して悩む中、国際大会の集大成となった今夏の世界選手権では２種目で銅を獲得。メドレーリレーでは自身の持つ１００メートル日本記録も更新した。

　１６歳だった２００１年の世界選手権で初代表。０８年北京五輪は代表を逃したが、北島康介（日本コカ・コーラ）らを育てた平井伯昌コーチに師事して再起。「諦めるのは簡単。山あり谷ありの水泳人生だったが、『もったいないよ』といわれて最後を迎えられて良かった」と満足そうに話した。

　引退を「卒業」と表現したのは、第一線から退いた後も水着を着続けたい気持ちが強いがゆえ。引き続きミズノに勤務し、２０年東京五輪へ向けて水泳の普及活動に励むという。