羽生、SP世界最高点!ソチへ大前進
「フィギュアスケート・GPファイナル」(5日、マリンメッセ福岡)
男子ショートプログラム(SP)で羽生結弦(18)=ANA=が世界歴代最高となる99・84点をマークし、トップに立った。世界選手権3連覇中のパトリック・チャン(カナダ)が2位につけ、織田信成(26)=関大大学院=が3位。GP2連勝の町田樹(23)=関大=は最下位の6位と出遅れた。ファイナルはGPシリーズ6戦の上位6人で争われ、日本人最上位メダリストがソチ冬季五輪代表入りに前進する。
切れ長の瞳に、野心の炎がたぎっていた。フィニッシュポーズで突き上げた拳を颯爽(さっそう)と振り下ろすと、羽生の頬が緩んだ。冒頭の4回転ジャンプから、ほぼ非の打ちどころのない会心の演技。世界最高得点を示す99・84点の表示を見ると思わず目を見開いた。「最初、英語のアナウンスだったので、分からなくて。(得点は)ビックリ。でもやりきった感じはあった」
GPシリーズでは2戦ともチャンに敗れ2位。王者を意識するあまり、得意の4回転ジャンプも精度を欠いた。だからこそ今大会は己の中に敵を見出した。「今回はしっかりと自分の気持ちを認識できている。今、メディアに話しているのも、ちゃんと自分に向けた言葉を発しきれてる」。冷静に自分のすべきことを遂行した結果が、100点の大台に迫る得点につながった。
故郷仙台を襲った東日本大震災から、この日で1000日が経った。フリーでは、震災のあったシーズンにも使用した「ロミオとジュリエット」をあえて選んだ。拠点をカナダに移して2年目。ただ、心は今も故郷とともにある。「カナダの2年も大事だけど、震災からの2年も含めて五輪までの4年。その集大成の思いを込めたい」と話す。
日本人最上位で表彰台に立てば、ソチ五輪へ大きく近づく。7日に19歳の誕生日を迎える若武者にとって、6日のフリーは18歳最後の演技。「18歳の今でしかできないファイナル。18歳の最後の日に、演技ができる幸せをかみしめて、思いっきりやりたい!」。自らのすべてをぶつけ、夢舞台を手繰り寄せる。