伊藤「全治8カ月」もソチあきらめない
フィンランド遠征中に、右膝の前十字靱帯(じんたい)損傷の重傷を負ったフリースタイルスキー・モーグル女子の伊藤みき(26)=北野建設=が16日、都内のナショナルトレーニングセンターで会見を開いた。負傷した右膝については「全治8カ月」という診断結果を下されたことを明かした上で、手術を回避しながら約2カ月後に迫ったソチ五輪を目指すことを改めて語った。
不屈の炎を宿した伊藤が、無数のフラッシュを浴びながら語った。「4年間、ソチ五輪でも金メダルを目指してやってきた。目標は変えられない。新しい自分に挑戦したい」。強く、固い意志をはっきりと表明した。
周囲から見れば、どう考えても不可能な挑戦に映ってしまう。負傷直後、フィンランドの医師の初見は右膝前十字じん帯断裂。「ソチのことは考えるな。もう忘れろ」。大舞台への思いを打ち砕く非常通告だった。
だが「少しでも望みがあるのなら」と帰国して再度、精密検査。断裂ではなく損傷だと判明した。それでも全治8カ月。国内医師の「厳しい」「お勧めはしない」との意見を聞いた上で、手術を回避。右膝の筋力アップでじん帯への負担を減らす方法での早期復帰を目指すという。
現状はつえをついて歩くのがやっと。雪上に戻るめども立っていないが「でも私は死んでない」と気丈だ。全日本スキー連盟の林辰男フリースタイル部長も「ドクターの意見も聞いて総合的に判断したい」と派遣の可能性を捨ててはいない。不可能を、可能にできるのか。