新体操・喜田純鈴、瞳の先に東京五輪
11月に行われた新体操の全日本選手権女子種目別で、香川・坂出中1年の12歳、喜田純鈴(エンジェルRGカガワ日中)がクラブ、フープの2種目で史上最年少優勝を飾った。元中国代表選手でもある劉宇コーチの指導の下、日本新体操協会の特別指定選手にも選ばれた天才少女は、2020年の東京五輪を目標に厳しい練習に励んでいる。
可憐(かれん)に、伸びやかに、12歳の少女が大舞台で躍動した。11月の全日本選手権女子種目別。クラブで15・650をマークして優勝。会場の視線を一身に集めた喜田は、フープでも14・650点をたたき出し、2位に0・600点差の圧勝で“2冠”に輝いた。
今年から年齢制限が緩和され、ジュニア選手の出場が可能になったばかり。個人総合でも2位に入った超新星は「自分ができることをやり切ったら優勝できた」と、はにかみながら喜びを口にした。
両親ともに元新体操選手。父・和敏さんは国体代表経験があり、母・志保さんは東京女子体大で活躍した。
しなやかな体と表現力を受け継いだ“サラブレッド”が、新体操を始めたのは4歳のとき。熊本から香川県坂出市に引っ越してきた。偶然にも自宅近くに、元中国ナショナルチーム選手の劉宇コーチが指導する体操教室があった。
劉コーチは「私が教え始めた当時から、表現する力、アピールする力があった」と振り返る。
練習は月曜以外の週6日。午後5時半から9時までの3時間半、みっちり行われる。「小さいころは痛い練習、キツい練習を泣きながらやっていた」と母・志保さん。友人と遊ぶ時間もほとんどなく、今でも「練習を休みたいときがある」と本人はこぼすが、世界トップレベルで活躍した劉コーチの指導の下、喜田は着実に力をつけていった。
日本新体操協会の特別強化選手にも選ばれ、10月の全日本ジュニア選手権では個人総合女王に輝いた。そして「お姉さんたちの中で、どこまでやれるかチャレンジしよう」(母・志保さん)と無欲で臨んだ全日本選手権で、あふれる才能を存分に披露した。
周囲の期待は膨らむ一方だが、「もっと表現力をつけたい」と喜田の向上心は尽きない。課題を一つ一つクリアしながら、目指すは19歳で迎える東京五輪。「オリンピックで思い切り自分の演技をしたい」。7年後を思い浮かべながら、天才少女はキラキラと目を輝かせた。