東洋大、設楽ツインズで2年ぶり往路V
「箱根駅伝・往路」(2日、東京都大手町~神奈川県箱根町=5区間)
王座奪回を目指す東洋大が、歴代2位の好タイムとなる5時間27分13秒で2年ぶり5度目の往路優勝を飾った。“双子エース”設楽兄弟の弟・悠太(4年)が3区で、兄・啓太主将(4年)が山上りの5区で区間賞を獲得し、チームをけん引した。史上4校目の学生駅伝3冠の懸かる駒大は、59秒差の2位。早大が5分9秒差の3位に続いた。連覇を狙う日体大は、6分32秒差で4位となった。
“双子エース”を中心とした鉄紺のたすきの結束が、箱根の山を制圧した。3区で弟・悠太が区間歴代3位のタイムで首位を奪取。そして、山上り5区を託された兄・啓太も区間賞の走りで、最後は両拳を掲げてゴールテープを切った。近年、大逆転劇を生んできた難攻不落の天下の険を危なげなく乗り越え、東洋大を2年ぶりの往路優勝に導いた。
「最後の駅伝だし、最強で最高のチームができた。笑って終われるようにしようと話していた」(悠太)
最上級生として迎えた今季、兄が主将、弟が副将を務めた。ただ、ともに言葉や姿勢で引っ張るタイプではなく、後輩の服部勇は「最初は大丈夫かなと思った」と振り返る。
春に日本初の1万メートル27分台双子ランナーとなるなど個人で力を発揮したが、チームは駅伝で出雲、全日本と2位。リーダーシップを問われた。しかし、全日本以降は啓太、悠太が中心となり、ミーティングの数を大幅に増やした。後輩から食事を残すことを指摘されるなど上下関係なく話し合い、結束を高めた。そして最後は、何よりも走りでチームをけん引してみせた。
1年時から活躍してきた2人も、これが学生最後の駅伝。卒業後は別々の実業団へ進む。「弟がいたからこそやってこれた」と啓太が話せば、悠太は「今度は実業団で、同じ区間で勝負したい」と新たな夢を口にした。
代名詞だった“山の神”柏原竜二が卒業以降、東洋大は学生3大駅伝で目下5戦連続2位中。勝負の復路、2位駒大との差は59秒。予断は許さない。ただ、最強ツインズが導いた2年ぶりの往路優勝で、呪縛から解き放たれる準備は整った。