東洋大V 弾馬、兄の言葉左腕に区間賞

 「箱根駅伝・復路」(3日、神奈川県箱根町~東京都大手町=5区間)

 東洋大が歴代2位となる10時間52分51秒で、2年ぶり4度目の優勝を飾った。復路では1度も先頭を譲ることなく、7区の服部弾馬(1年)、8区の高久龍(3年)、10区の大津顕杜(4年)が区間賞をマークし、5時間25分38秒の復路新記録と他を圧倒。“山の神”柏原竜二(現富士通)卒業以降、三大駅伝初優勝で、第2の黄金期到来を予感させた。史上4校目の3冠に挑んだ駒大は2位、連覇を狙った日体大は3位に終わった。

 アンカー大津の苦しげな表情が満面の笑みに変わる。たすきを握りしめ、両腕を掲げてゴールテープを切った瞬間、鉄紺の戦士たちは呪縛から解き放たれた。“山の神”柏原竜二の卒業以降、続いていた三大駅伝5大会連続2位にピリオド。歴代2位の高速タイムで圧勝し、東洋大新時代の到来を予感させた。

 往路の設楽兄弟に続き、復路でも兄弟の絆が勝利を手繰り寄せた。7区で1年生ながら区間賞をマークし、優勝を手繰りよせた服部弾馬の左腕には、フェルトペンで「その一秒をけずりだせ!!」と、チームの合言葉が刻まれていた。往路の2区で区間3位と健闘した兄勇馬(2年)が書いたもの。「汚い字ですけど、力になりました」

 走りだすまでは不安でいっぱいだった。前日、急に右アキレスけんが痛みだした。不安のあまり、夜に兄へ電話した。「足は大丈夫だから。楽しんで走ってこい」。他校のエース格と互角に戦った兄からのエールを、胸に刻んで走り抜けた。

 一方で、兄は電話の後、眠れなくなるほど心配だった。「全然、寝れなかった。(前日に2区で骨折し棄権した)オムワンバ選手を見ていたので、ああなったらどうしようと」。だから、弟がたすきをつないだ後は思わず「良かったなあ~」と、抱きついて泣いた。

 両親が優しい馬の目が好きだったことから、兄弟の名にはともに「馬」がついている。くしくも今年はうま年。兄勇馬は「大みそかに弟と『箱根では馬が活躍しないと駄目だな』と話していた」と、笑った。

 双子エースとしてチームを支えた設楽兄弟がそろって卒業。連覇の懸かる来年は、2人にエースの期待が懸かる。弟が「来年はエース区間を走りたい」と話せば、兄も「来年は自分も区間賞を獲りたい」と、キッパリ。東洋大第2の黄金期へ、力強い“いななき”が響き渡った。

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