沙羅W杯総合連覇 日本人最多の20勝
「ノルディックスキーW杯ジャンプ・個人第14戦」(1日、ルシュノブ)
ソチ冬季五輪後初戦で、17歳の高梨沙羅(クラレ)が100・5メートル、99メートルの252・0点で今季11勝目を挙げ、2季連続の個人総合優勝を決めた。通算では20勝とし、ノルディック複合の荻原健司を抜いて日本選手歴代単独最多となった。高梨はW杯得点を1320点に伸ばし、2位につける五輪金メダリストのカリーナ・フォクト(ドイツ)に残り5試合で逆転不可能な500点を超える差をつけた。伊藤有希(土屋ホーム)が95・5メートル、87・5メートルの221・6点で2度目の表彰台となる3位に入った。
春を思わせる陽気のジャンプ台は強い風が舞う難条件だったが、高梨には関係なかった。優勝候補の筆頭として臨んだ五輪で4位に終わり「しっかりリベンジしたい」と話していた17歳のジャンパーがW杯の再スタートで大飛躍をそろえた。
踏み切り付近は向かい風、K点付近は追い風だった。飛距離を伸ばしにくい条件で上位選手も苦しむ中、高い飛行曲線で飛んだ高梨は1回目に1人だけHSを越えた。2回目も最長の99メートルをマークし、圧勝した。
五輪初代女王のフォクトは2月28日の公式練習で転んで負傷し、銀メダルのイラシュコ(オーストリア)は五輪後の練習で膝を痛めて手術を受けた。ライバル不在の試合だったが、しっかりと力を見せた。
五輪の失意を乗り越えるには、飛ぶしかなかった。2月14日に帰国した後も数日しか休まず、練習のために国体のジャンプや複合でテストジャンパーを務めた。迎えた五輪後の初戦は1回目に“指定席”といえるトップに立ち、楽々と逃げ切った。