白鵬、遠藤を一蹴 復興願う29歳星

 「大相撲春場所3日目」(11日、ボディメーカーコロシアム)

 春場所5連覇と29度目優勝を狙う横綱白鵬(29)=宮城野=が、ホープ遠藤(23)=追手風=を土俵にたたきつけて3連勝。格の違いを見せつけ、史上最速の初金星を阻止した。東日本大震災から3年のこの日は、白鵬の29歳の誕生日。角界の代表として何度も慰問してきた被災地の東北に、今年も祈りの復興星をささげた。綱とりを目指す大関鶴竜(28)=井筒=は早くも初黒星を喫した。

 横綱流の手荒いあいさつだった。26本もの懸賞金がかかった大注目の初対戦。立ち合いで、白鵬はいきなり右手で遠藤の左頬を張った。

 面食らう一発で戦意喪失したホープに左を差し、右手で首根っこを押さえると最後はたたきつけ、土俵の外まで転がした。角界の頂点に立つ男が“瞬殺”で、史上最速金星の夢を打ち砕いた。

 「(張ったのは)あいさつどうこうじゃなく、若手の期待の星だからね。勢いもあるし自然な流れ」。将来性を認めるがゆえ、全力で格の違いを見せつけた。

 今年も春場所中に迎えた29歳の誕生日を3連勝で飾った。「家族に、両親に感謝。本当にいい1日になった」と満足顔を浮かべた。誕生日と重なる東日本大震災は、横綱にとっての運命と感じる。3年前の3・11が人生観すら変えた。

 「震災の日でもありますし、力士会の代表として、いろいろ考えさせられてきた。勝ち負けじゃなく、相撲道としての道があるんじゃないか。社会貢献が宿命と思った」

 震災後の2011年4月には福島県を慰問。同6月には力士団約100人を率い岩手県の被災地を巡回訪問。その後も12年、昨年と東北に夏巡業するなど復興へ向け、常に角界の先頭に立ってきた。

 先日はテレビで支援物資が届かない、というニュースを見た。「残念と思った」と心を痛めた。力士会で土俵を東北に届ける活動など、今後も支援の手を広げていく。

 29歳初の場所で29度目の優勝へ死角はない。「テレビをつけて『きょうの横綱は勝って良かったな』とそういう気持ちになってくれれば」。復興はまだまだ途中。傷痕に苦しむ被災者を勇気づけるためにも、強い横綱の姿を被災地へと届け続ける。

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