入江200背泳ぎV8 萩野5冠ならず
「競泳日本選手権・第4日」(13日、東京辰巳国際水泳場)
男子200メートル背泳ぎは入江陵介(24)=イトマン東進=が1分53秒91で制し、史上6人目の8連覇を達成した。萩野公介(19)=東洋大=は2位に終わり、昨年に続く大会5冠はならなかった。女子200メートル平泳ぎは渡部香生子(17)=JSS立石=が2分21秒09の高校新で初優勝し、100メートル平泳ぎ、200メートル個人メドレーと合わせて大会3冠。男子50メートル自由形は塩浦慎理(22)=イトマン東進=が日本選手初の21秒台となる21秒88の日本新で連覇し、いずれも代表枠を獲得した。
入江に笑顔と輝きが戻った。男子100メートルに続き、200メートルでも萩野を下した。日本選手権8連覇以上は6人目の快挙。1936年のベルリン五輪で日本人女性初の金メダルを獲得した前畑秀子さんの7連覇(1930~36年)を抜いた。
「タイムも出せて、もう一度止まっていた時計を動かすことのできた大会になった」
2つのメダルを獲得したロンドン五輪後、競技人生は暗転した。昨年の日本選手権では100メートル背泳ぎで萩野に敗れ、世界選手権では無冠に終わり、引退も示唆した。昨秋には椎間板ヘルニアも患い、日常生活さえも厳しい状況に追い込まれた。
ターンが禁止されたことで、50メートルを徹底的に泳いでスピードを磨いた。一度も首位を譲らずにマークした1分53秒91は、ロンドンの銅メダルのタイムに相当する。国内8連覇も「うれしいけど、それで何かをもらえるわけではないので」と興味を示さなかったが、「強い競泳日本。全体をレベルアップしていきたい」と、エースの自覚も口にした。
100、200メートル背泳ぎの自己記録を出したのは09年。「やっと自己ベスト(=日本記録)と向き合えるようになった。時計を回して戦える」。北島らが持つ日本選手権最多9連覇は通過点。レジェンドを抜く道を力強く“泳ぎ”始めた。