ナダル全仏5連覇“赤土の王者”快挙

 「全仏オープンテニス最終日」(8日、パリ)

 男子シングルス決勝で第1シードのラファエル・ナダル(28)=スペイン=が第2シードのノバク・ジョコビッチ(27)=セルビア=に逆転勝ちし、史上初の5連覇を達成し自身が持つ全仏の最多優勝回数を9に伸ばし、優勝賞金165万ユーロ(約2億3千万円)を獲得した。ナダルは昨年の全米オープンに続く四大大会通算14勝目で、最多17勝のロジャー・フェデラー(スイス)に次ぎ歴代2位のP・サンプラス(米国)に並んだ。

 ジョコビッチのダブルフォールトで3時間半の激闘に終止符が打たれると、ナダルは膝から崩れ落ちた。強靱(きょうじん)な足腰で回り込み、何度もフォアの強打を放って粘り勝ち「自分の限界まで戦った」と前人未到の5連覇。表彰式で優勝杯を抱きしめ、スペイン国歌斉唱に涙をこらえきれなかった。

 日差しが強く、暑い中での試合はマジョルカ島育ちのサウスポーに“追い風”だった。強烈なスピンを利かせた打球が乾いた赤土で高く弾み、威力を発揮。第1セットはバックハンドのミスを重ねて奪われたが、第2セットから自慢のフォアで「劇的に流れを変えられた」と巻き返した。

 「人生で最も大切な場所」と表現するローランギャロスはラリーが長くなるため、体力、精神力が問われる過酷な舞台。第3セットから疲労の色が濃くなった宿敵の隙を見逃さず、一気に畳みかけた。44本の決定打のうち27本がフォアの一発。「自分の切り札を磨き続けた結果だ」と笑った。

 19歳で初出場優勝し、10年間で66勝1敗の驚異的な勝率を誇る“赤土の王者”。四大大会では歴代2位に並ぶ通算14個目のタイトルとなり、満員の観客が偉業達成を祝福。「忘れられない一日になる」と達成感に浸った。

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