錦織、無念の準V「決勝に戻ってくる」

 「全米OPテニス・男子シングルス決勝」(8日、ニューヨーク)

 男子シングルス決勝が行われ、第10シードの錦織圭(24)=日清食品=は第14シードで過去の対戦成績では5勝2敗とリードしていたマリン・チリッチ(25)=クロアチア=に3‐6、3‐6、3‐6のストレートで敗れ、日本選手として男女を通じ史上初の四大大会シングルス優勝はならなかった。優勝賞金は300万ドル(約3億1800万円)。準優勝の錦織は145万ドル(約1億5400万円)を獲得した。

 錦織の、そして日本人の夢はかなわなかった。第3セット第9ゲーム。チリッチの放ったボールを追いかけられず、ただ見つめる。表彰式で準優勝のプレートを受け取っても表情はこわばったまま。インタビューでのひと言が決勝の戦いを集約していた。

 「自分のテニスができなかった」

 四大大会で初めて臨んだ決勝の舞台。その重圧から、錦織の動きは硬かった。第1セット第1ゲームでいきなりブレークポイントを迎える。だが、強烈なフォアハンドやサービスでキープされた。「チリッチは何回も勝っている相手。勝てるというのが見えたのも、集中できなかった理由の一つ。ここまで硬くなったのは久しぶり」。その口調に悔しさがのぞいた。

 相手のプレーが完璧だった。自身が得意とするラリーで左右、時には縦横に揺さぶって攻めるスタイルを逆にやられた。最速216キロを計測した高速サーブや高く跳ねるキックサーブに武器のリターンも機能せず。「ずっと迷走している感じでした」。いら立ちからか、ガットをたたくしぐさも見せた。

 8月に右足親指の故障で2大会を欠場。大会直前まで出場が危ぶまれたが、7試合で計18時間以上を戦い抜いた。熊谷一弥、三神八四郎が1916年に、前身の全米選手権に初めて挑んでから98年。格上を次々と撃破してたどり着いた日本テニス史を塗り替える準優勝だ。

 「優勝のチャンスを逃したのは悔しい。けど、ラオニッチ、ワウリンカ、ジョコビッチに競り勝つことができて自信になった。やはりグランドスラムで活躍することが目標。また決勝に戻ってきたい。優勝を目指してやりたい」。喜びよりも悔しさが勝ったが、確かな手応えもつかんだ。錦織なら、きっと四大大会のトロフィーを手にする日が来るはずだ。

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