沙保里、新階級でも金!世界大会15連覇

 「レスリング世界選手権・第4日」(11日、タシケント)

 女子3階級が行われ、53キロ級の吉田沙保里(31)=ALSOK=が決勝でソフィア・マットソン(スウェーデン)を下し、連覇を12に伸ばした。55キロ級での五輪3連覇と合わせ、15大会連続で世界一に輝いた。63キロ級で同じく五輪3連覇の伊調馨(30)=ALSOK=は58キロ級の決勝でワレリア・コブロワ(ロシア)にテクニカルフォール勝ちし、9度目の優勝を果たした。75キロ級の鈴木博恵(クリナップ)は3回戦で昨年72キロ級3位のアデリン・グレー(米国)に屈し、敗者復活戦でも敗れた。

 レスリングを教えてくれた父にささげる金字塔だ。突然のくも膜下出血で父・栄勝(えいかつ)さんを亡くしたのはちょうど半年前。悲しみを乗り越え、新階級で初めて迎えた世界選手権。吉田の圧倒的な強さは2キロ軽い階級でも変わらなかった。攻守ともほぼ完璧な内容で大会12連覇を果たしての15大会連続世界一。「父に優勝を報告したかった」と、女王が胸を張った。

 勝機を逃さなかった。昨年と同じ顔合わせの決勝で、マットソンが研究していることは分かっていた。1点を先制した後は消極的と注意を受けた。「覚悟が決まった」と勢いよく飛び込み、タックルで4点を加え大勢を決めた。やはり慎重だった初戦の2回戦は相手のタックルを防いでバックに回って先制し、そのままフォール。準決勝は高速タックルがさく裂。わずか49秒でフォールに仕留め、拳を握った。

 体重が軽くなった分、わずかに腰高になり、脚が動きづらくなることに気づいた。スパーリングをいつも以上に重ねて感覚を修正して臨み、初戦からスムーズな脚さばきを見せた。栄和人監督は「55キロ級の強さが戻ってきている。そこが沙保里のすごいところ」と舌を巻いた。

 世界選手権で55キロ級が始まった2002年から昨年まで五輪も合わせ、タイトルを独占。階級が変わる2年後のリオデジャネイロ五輪での4連覇は、壮大な目標だが夢ではない。「もっともっと研究する」と決意を新たにした31歳の女王は父の遺影を誇らしげに掲げ、定位置の表彰台の中央に笑顔で収まった。

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