新三役当確!逸ノ城13勝&ダブル受賞

 「大相撲秋場所・千秋楽」(28日、両国国技館)

 新入幕の逸ノ城が安美錦を押し出しで破って13勝目を挙げ、来場所での三役昇進をほぼ確実とした。新入幕力士が13勝したのは北の富士、陸奥嵐に次いで3人目。三賞も殊勲・敢闘のダブル受賞となり、幕下付け出しからの最速記録となった。横綱白鵬は鶴竜を掛け投げで下して14勝1敗。3場所連続31回目の優勝を決めて、千代の富士(現九重親方)に並ぶ史上2位タイの優勝回数をマーク。いよいよ大鵬のV32へ挑む。

 100年ぶりの偉業となる新入幕Vを決してあきらめることはなかった。逸ノ城は立ち合いでやや左に変化した安美錦の動きを冷静に見て、相手が引いたところを強烈なおっつけで一気に土俵外へ運んだ。15日制以降での新入幕力士としては最多タイとなる13勝目。そして、優勝決定戦へのかすかな期待を持って西支度部屋で結びの一番を見つめた。白鵬の優勝が決まった瞬間、大きく表情を変えることはなかったが悔しさと満足感をにじませたような顔になった。

 「もし横綱(白鵬)が負けたら、優勝決定戦があるのでやるつもりでした」

 最後の最後まで記録ずくめ。幕下付け出しからデビュー5場所目での三賞受賞は99年3月の雅山(現二子山親方)と並ぶ最速タイ。そして、九州場所(11月9日初日・福岡国際センター)では新三役に昇進することがほぼ確実となった。年6場所制になった58年以降、新入幕から所要1場所での三役昇進は北の富士、大錦に次いで3人目の快挙となる。

 将来の大相撲を背負う大器の躍進に北の湖理事長(元横綱)も大きな期待をかける。「もうひとつ力がついたら、1年以内に優勝することもあると思う。大関?次の場所で2ケタ勝ったら、チャンスは近づいてくる」と断言した。「自信がつきました。来場所も勝ち越せるように頑張ります」と控えめに語ったが、初めてまげを結って土俵に上がる九州でも怪物の勢いは止まりそうにない。

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