泣いた錦織…自身初2週連続ツアーV
「テニス・楽天ジャパン・オープン」(3日、有明テニスの森公園)
錦織、号泣V‐。シングルス決勝で世界ランク7位の第4シード、錦織圭(24)=日清食品=が同8位の第3シード、ミロシュ・ラオニッチ(23)=カナダ=に7‐6、4‐6、6‐4で勝って2年ぶり2度目の優勝を果たし、優勝賞金29万6850ドル(約3265万円)を獲得した。前週のマレーシア・オープンに続くツアー今季4勝目、通算7勝目で、自身初の2週連続制覇を達成した。
割れるような大歓声が湧き上がったその瞬間、錦織はコートに大の字になって倒れた。泣いていた。そして起き上がると、一目散にコートサイドの客席に上っていった。迎えたのはマイケル・チャン、ダンテ・ポッティーニ両コーチと中尾公一トレーナー。1人1人と抱擁をかわした。
「本当に信じられない。うれしくて涙も出た。体力がきつかったけど、限界を乗り越えることができた。また日本で優勝できて、うれしい」
声を震わせながら、スタンドを埋め尽くした1万1893人のファンに感謝の言葉を連ねた。
2年前と同じラオニッチとの決勝。世界トップクラスの戦いは、互いにブレークが1つという激戦となった。ラオニッチに高速サーブでバックを徹底的に攻められた。最速233キロのサーブに、エースを22本奪われた。それでも耐え続けた。
第1セットはタイブレーク。ラオニッチのサーブで錦織のセットポイント。爆発的なサーブに食らい付いた返球がネット際ぎりぎりに入った。ラオニッチがストレートに流して前に詰めたところをフォアで強烈なパス。7‐6で奪取した。
第2セットを失い、最終セットは互いにキープ。「4‐3の時点から頭がどこかいってしまった気分だった。食らい付くことだけを考えていた」。5‐4とリードの第10ゲーム。ラオニッチの高速サーブに対し、無心で放ったリターンが立て続けに決まり、ラリーからラオニッチがネットにかけて勝負が決まった。
錦織の世界ランクは7位から6位に上がる見込み。年間の獲得ポイントで上位8人が参加できるツアー・ファイナル(11月、ロンドン)出場へのポイントも500ポイントが加算されて4435ポイントとなり、5位に上がる。
試合後、ラオニッチに対して英語で称賛と感謝のメッセージを贈った。世界の錦織。こんなかっこいいアスリートが、日本に誕生した。