冨田デサント解雇…1年半の登録停止も
仁川アジア大会の競泳会場で韓国メディアのカメラを盗んで略式起訴され、日本選手団を追放された競泳男子の冨田尚弥(25)=チームアリーナ=について、所属のデサントは7日付での解雇を発表した。また、日本水連は都内で倫理委員会と常務理事会を開き、16年3月31日までの選手登録を停止とする処分案を決めた。永久追放も検討されたが、16年リオデジャネイロ五輪の最終選考会となる同年4月の日本選手権には出場できるように調整された。
国際総合大会で、日本代表活動中に窃盗をするという前代未聞の事件を巻き起こした25歳に厳しい現実と、わずかばかりの希望が指し示された。
所属のデサントは社内委員会を開催し、「重大な就業規則違反があった」として7日付での解雇処分を発表した。同社の担当役員、および管理責任者である監督についても厳重注意ならびに厳正な処分を科したという。冨田にとっては、現役を続行する場合の大きな後ろ盾をなくしてしまった。
一方で、絶望的かと思われた夢舞台への可能性は残された。日本水連は当初、最も重い「選手資格の永久停止」処分も検討したが、被害者との示談が成立していること、示談の際「選手生命を断つような処分はしないでほしい」と要請されたことが考慮された。2番目に重い「5年以下の期間を定めた登録停止」とし、期間を16年3月末までの約1年半に調整された。
同年4月のリオ五輪代表選考会への出場は認められる。登録停止期間中、大会には出場できないが、日本水連が主催しない記録会への参加は可能という。今後、冨田には水連の決定通告から2週間以内に不服を申し立てる権利を与えられ、30日の臨時理事会で最終決定する。帰国時に「僕、やってません」と話した冨田が、どういう対応をするのかが注目される。