“大鵬相撲”白鵬が稀勢の里に完勝
「大相撲九州場所・12日目」(20日、福岡国際センター)
首位を並走する白鵬と鶴竜の両横綱が1敗を死守した。白鵬は大関稀勢の里を豪快な上手投げで退けて1敗をキープ、大鵬と並ぶ史上最多32回目の優勝へまた1歩前進。鶴竜も大関豪栄道をはたき込んで、横綱昇進後初優勝へ近づいた。豪栄道は8敗目を喫し、来年初場所は初のかど番となる。
頭に描いた通りの相撲だった。白鵬は立ち合い両腕を絞りながらのもろ差し狙い。右は入ったが、左が入らないと見るや、瞬く間に左上手に切り替える。間髪を入れず、豪快な上手投げ。体重170キロの稀勢の里を土俵に転がした。
前日11日目に全勝だった鶴竜が敗れてトップに並ぶと、この日は優勝への意欲をアピールするような力の入った相撲内容。九州場所の平日では1997年以来17年ぶりに大入りとなった場内を沸かせ「昨日宣言した通りのいい相撲が取れたと思います」と静かに振り返った。
優勝で大鵬に並ぶ場所で、大先輩のイメージを取り口に盛り込んだ。立ち合い腕を絞ってのもろ差し狙いは、まさに大鵬メソッド。「大鵬親方のように(腕を)クロスさせてね。まあ、左は入りませんでしたけど」と、どこか楽しんでいるように話した。
2敗が平幕の栃の心だけとなり、賜杯争いは鶴竜とのマッチレースの様相となった。北の湖理事長(元横綱)は「これで鶴竜と互角になった。白鵬が有利とは思わない」との見方だが、優勝31回の経験は白鵬にしかない最大の強み。「これからも一番一番です」。聞き慣れた言葉にすごみが増した。