羽生2連覇!世界最高点にスマイル復活
「フィギュアスケートGPファイナル」(13日、バルセロナ)
男子フリーが行われ、ソチ五輪王者でSP1位の羽生結弦(20)=ANA=が、圧巻の演技でフリーでも1位となり、今季世界最高の288・16点で2連覇を達成。中国杯での負傷からの完全復活をアピールした。ファイナル男子の2連覇はプルシェンコ(ロシア)、チャン(カナダ)に続く史上3人目、日本男子では初の快挙となった。約34点差の2位にハビエル・フェルナンデス(スペイン)。SP2位の町田樹(24)=関大=は精彩を欠き、6位に沈んだ。
スコアのコールを聞くまでもなかった。“俺がNo.1だ”-。演技を終えた羽生は破顔一笑した後、天に人さし指を突き立てた。「ほぼ完ぺきだった」と振り返るフリーの194・08点は、昨年のファイナルを上回る自己ベスト。中国杯での激突事故から1カ月余り。力強いガッツポーズと、柔和な“ユヅスマイル”と、ともに強い羽生が帰ってきた。
2種類の4回転ジャンプが高らかな号砲となった。「初めてこんなにきれいに跳んだ」と自賛したサルコー、切れ味抜群のトーループを完ぺきに着氷。軽やかなスケーティングとともに、時折歌を口ずさみながら、「オペラ座の怪人」の主人公ファントムを体現していく。スタミナが求められる演技後半には2つのトリプルアクセルからの連続ジャンプを決めきった。「気が緩んだ」と反省した最後の3回転ルッツの転倒がなければ、フリーで史上初の200点に届く圧巻の内容だった。
中国杯のけがこそ癒えていたが、今大会は持病の腰痛という別の悩みを抱えていた。睡眠中の悪化を防ぐためのマットレスや患部のテーピングに頼らざるを得ない状態。それでも、ここまでオーサー・コーチから課せられた練習で「もう嫌だというくらい追い込んだ」という自負が、羽生の心を支えた。その姿に日本連盟の小林芳子強化部長は「才能があって気持ちも強い。しばらくは無敵だと思う」と舌を巻いた。
選手生命が危ぶまれたアクシデントを乗り越え、見事に王座を防衛した。これでファイナル、五輪、世界選手権の3大タイトルを史上初の4連勝。ただ、今大会は事故後の体への負担を考え、これでも難度を下げた構成だった。オフに取り組んで来たのは、SP、フリーとも4回転を基礎点が1・1倍される演技後半に取り入れる究極難度の構成だ。完全復活か?の問いには「まだ4回転を後半に入れられていない」と、首を振った。慢心なき王者が君臨する“羽生政権”は、まだまだ揺るぎそうにない。