世界の頂へ…跳べ「エア・ケイ」

 夢をかなえる時が来る。2014年の全米オープンで、男子ではアジア人初の四大大会での準優勝、自己最高のツアー4勝、世界ランク5位と大躍進を果たしたテニス男子の錦織圭(25)=日清食品=が、トップ獲りに臨む。2015年は、悲願のグランドスラム制覇、世界No.1が現実味を帯びている。立ちはだかるBIG3(ジョコビッチ、フェデラー、ナダル)を打ち破り、『エア・ケイ』が世界の頂に立つ。

 日本の若き侍の野望が、いよいよ手の届くところにきた。正確無比なストローク、驚異的な粘り強さで、全米オープンでの準優勝など大躍進を遂げた錦織が、2015年はいよいよ現実的な目標として、グランドスラム制覇、そして世界ランク1位に挑んでいく。

 「今、グランドスラムで優勝できるところにいる。優勝を目指して頑張りたい」

 越えるべき壁は、長年テニス界の頂点に君臨してきたBIG3。世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(27)=セルビア、錦織が「憧れ」と語るロジャー・フェデラー(33)=スイス、そしてまだ1度も下したことのないラファエル・ナダル(28)=スペイン=の3人だ。

 打倒BIG3へ、錦織がポイントに挙げるのが、スピードと省エネ。そのための“新兵器”として、今季から新たなラケットを用意した。従来よりボールの初速が平均8%、最大で15%も上昇する新ラケットの構想が浮かんだのは、昨年の5月。マドリードマスターズ決勝で、ナダルと対戦した時だった。

 ナダルが最も得意とするクレーコートで圧倒する強さを見せていたが、腰痛を発症し、途中棄権を強いられた。直後に錦織は新シーズンのラケットをオーダー。通常、新ラケット開発には2年を要するが、半年で完成。ストロークの球速で約10キロアップ、200キロ超のビッグサーブも可能にする“新兵器”の意図を「もう少し早く終わらせるためにウイナー(決定打)を増やしたい」と説明する。

 昨季の錦織はとにかくフルセットに強かった。フルセットの通算勝率は歴代トップの78・4%まで上昇。準優勝した全米では、ラオニッチ、ワウリンカを相手に4時間を超す死闘の末、勝利。現地メディアからは「マラソンマン」の異名も授かった。ただ、逆に言うと、消耗戦での疲労の蓄積が課題に。決定打を増やし、トーナメント序盤をより楽に勝ち進めれば、終盤でのBIG3との大一番にも余力を残して戦える。

 流行語にもなった「勝てない相手はもういない」。真価が問われる今季。この言葉を証明した時、錦織がテニス界に新たな時代の到来を告げる。

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