沙羅、逆転連勝 7位から大ジャンプ
「W杯ジャンプ女子札幌大会」(11日、札幌市宮の森ジャンプ競技場)
個人第3戦が行われ、高梨沙羅(18)=クラレ=が合計236・3点で優勝した。1回目87メートルの7位から、2回目に最長不倒の97メートルを飛んで逆転した。第2戦に続く今季2勝目で、通算26勝目。ソチ冬季五輪金メダルのカリーナ・フォクト(ドイツ)が2位。1回目に94・5メートルで3位につけた伊藤有希(土屋ホーム)は2回目に83・5メートルと伸ばせず、214・8点で9位に終わった。
自身も驚く大ジャンプで、高梨が鮮やかな逆転勝利を飾った。1回目を終えて7位。優勝は遠のいたかにも思えたが、諦めなかった。2回目にHSにあと3メートルと迫る飛躍で一気にトップに。地元開催のW杯で2戦続けて頂点に立ち「まさか勝てるとは思ってなかった」と頬を緩めた。
開始当初から風と雪が強く「1本で終わるかも」と覚悟していたという。だが、1回目は不利な追い風を受け、K点に3メートル届かなかった。これまでなら不本意な結果を引きずってしまうことも多かったが、この日は違う姿を見せた。
「頭の中では、ずっといいイメージを巡らせていた」と沈んだ気持ちを吹っ切って臨んだ2回目。スピードに乗った助走からタイミングよく踏み切って向かい風を受け、声援に包まれて飛距離を大きく伸ばした。小川コーチは「考え方が大人になった。以前よりも切り替えがスムーズにできている」と精神面の成長に目を細めた。
ただ、個人総合3連覇が懸かるエースは技術面には「勝てるようなレベルには達していない。伸びしろがある」と満足していない。勝利を積み重ねながら貪欲に成長を求める姿に、強さの秘訣(ひけつ)がある。