佳純、涙の3冠「苦しい1週間だった」
「卓球全日本選手権」(18日、東京体育館)
女子シングルス決勝で、石川佳純(21)=全農=が森薗美咲(22)=日立化成=に4-1で快勝し、2大会連続3度目の優勝を飾った。ダブルス、混合ダブルスと合わせた3種目を制覇。女子の3冠は1960年度の山泉(現姓伊藤)和子以来で、54大会ぶり2人目の快挙を成し遂げた。
準決勝、決勝の試合後、そして表彰台の一番高い場所で…。この日流した3度の涙が、石川にのしかかっていた重圧を表していた。
激闘の連続を乗り越え、女子で史上2人目となる3冠を達成。「苦しい1週間だった。去年とは違って、思った以上に相手も向かってくるし、自分も緊張でどうなるんだろう?と思った。本当にうれしい」と、安堵(あんど)の笑みを浮かべた。
今大会は3種目に出場し、17戦全勝。“一人横綱”の重責を全うした。16年連続で出場していた福原愛が故障で欠場。ともに日本女子の看板を担い、ロンドン五輪で団体銀メダルに導いたライバルが不在の中、14歳の伊藤美誠、平野美宇らが、最大の標的として立ち向かってきた。
この日のハイライトは、準決勝の前田美優戦だった。高校生のホープを相手に最初の1ゲームを奪ったものの、3ゲームを連取され、崖っぷちに立たされた。
それでも「負けることは考えなかった。最後の一本まで必ず勝つんだ、という気持ちを貫いた」と、この1年で培ってきた自信を支えに挽回。バリエーション豊かなサーブからの多彩な攻めで、流れを引き寄せて4-3で逆転勝ち。ことごとく若手の壁となり、立ちはだかった。
日本女子初の快挙となった昨年12月のワールドツアー・グランドファイナルで優勝。日本女子最高位の世界ランク4位に君臨し、全日本での3冠と、勢いはとどまることを知らない。名実ともに日本のエースとなった21歳は「1つも負けなかったことは自信になる。去年の優勝とは、また違った大きな一歩。ここから世界選手権、リオ五輪に向けて、挑戦したい」と、力強く世界に宣戦布告した。