柔道男子の重量級で五輪を２連覇し、２０日に肝内胆管がんのため５４歳で死去した斉藤仁氏の通夜が２２日、大阪市平野区の斎場でしめやかに営まれ、好敵手で幾多の名勝負を繰り広げた全柔連の山下泰裕副会長（５７）ら約６００人が参列し、別れを惜しんだ。

　８４年ロサンゼルス、８８年ソウル五輪の９５キロ超級で２連覇。斎場の入り口には金メダルを首にかけ右手を挙げる写真が掲げられ、心が強く、飾り気のないさまを表す座右の銘「剛毅木訥（ごうきぼくとつ）」の４字が添えられた。棺には五輪旗がかけられた。

　山下副会長は「最高で最強のライバルだった。引退後は日本柔道の同志で日本柔道を立て直そうとしてきた。悔しい」と言葉を詰まらせた。最後の別れでは「仁ちゃんの魂、志を受け継いで頑張るから天国で見守ってくれよ」と語りかけた。

　０４年アテネ五輪金メダリストで、国士舘大監督の鈴木桂治氏は「斉藤先生の１００キロ、１００キロ超級が弱くなったと言われないよう、日本柔道は世界一ということを報告したい」と涙を浮かべた。