沙羅 失速5位「最悪の内容だった」
「ノルディックスキー・ジャンプ女子W杯・個人第6戦」(25日、オーベルストドルフ)
日本のエース、高梨沙羅(18)=クラレ=は90メートル、90・5メートルの213・1点で5位に終わった。3連覇を目指す個人総合でも2位に後退し、「最悪の内容だった。迷走中」とスランプを口にした。ダニエラ・イラシュコ(オーストリア)が2連勝し、個人総合首位に浮上した。今季2勝目で通算7勝目。伊藤有希(土屋ホーム)は10位、勢藤優花(北海道・旭川龍谷高)は14位、岩渕香里(松本大)は21位だった。
HSを越えるほどの大きな飛躍を持ち味とする高梨が、2回ともK点の手前に落ちた。表彰台を逃したエースは「自分でも目をつぶりたくなるぐらい最悪の内容だった」と小さな声で言った。
今季はなかなか調子が上がらず「自分の感覚と実際(の動き)に狂いが出ている」という。微妙なずれの原因は用具にある。夏にスキーとブーツをつなぐ金具を新型に変更したが、破損が相次ぎ、開幕戦後に昨季まで使っていた古いタイプに戻した。助走路の滑りを新しい金具に合わせて調整していたため「癖から抜け出せない。慣れるのに時間がかかっている」と明かした。
自分の状態を「迷走中」と表現するほど悩みは深い。「今はまず自分のジャンプの内容を変えていきたい」と、金メダルに挑む世界選手権の個人(2月20日)に向けて立て直しのきっかけをつかむことに集中する。個人総合優勝争いを気にする余裕はない。
飛躍の映像を父でコーチの寛也さんに送って助言を仰ぐとともに、オーベルストドルフに残って2日間練習するという。苦しむエースは「練習で一つ一つやっていきたい」と言葉を絞り出した。W杯女王が窮地に立たされている。