葛西 日本最長240・5M飛んだ
「ノルディックスキー・W杯ジャンプ男子」(15日、ビケルスン)
フライングヒルによる個人戦が行われ、葛西紀明(42)=土屋ホーム=は合計347・0点で5位だった。1回目は184メートルの13位と出遅れたものの、2回目に日本最長記録の240・5メートルを飛んで巻き返した。セベリン・フロイント(ドイツ)が237・5メートル、245メートルの436・7点で優勝、今季5勝目で通算14勝とした。1回目に251・5メートルの世界最長記録を出したアンデシュ・ファンネメル(ノルウェー)が2位となった。
葛西の2回目は飛び出した瞬間から高さがあった。そのまま向かい風を利して滑空するとK点付近で「急にギューンと伸びた」。HSをはるかに越え、伊東の日本記録を0・5メートル上回った。気まぐれな風で荒れた試合の最後に意地を見せ「240メートルは越えたかった。やっと、いった」と、すがすがしそうに笑った。
1回目はファンネメルの世界最長飛躍の直後で、葛西の順番からスタート位置が下がった。しかも風の条件による待機時間が長くなり「集中力が続かなかった」という。踏み切りでタイミングが遅れ、飛行曲線が低くなった。後半の風が弱かったこともあり、浮力を感じられないままK点の16メートル手前に落ちた。
だが「腹立たしさをぶつけた」という2回目は圧巻の飛躍で観客を沸かせた。2試合連続の表彰台には届かなかったが「嫌な感じで終わらなくて良かった」と安堵(あんど)。18日に始まる世界選手権前最後のW杯を会心の飛躍で締め、大舞台へ挑む。