葛西 「やっちまった」惨敗35位
「ノルディックスキー世界選手権・男子ノーマルヒル」(21日、ファルン)
葛西紀明(42)=土屋ホーム=は1回目に86・5メートルの100・9点で35位にとどまり、2回目に進めなかった。竹内択(北野建設)が2回とも93メートルを飛び、241・6点で5位入賞。雪印メグミルク勢の伊東大貴は12位、小林潤志郎は25位。ルネ・ベルタ(ノルウェー)が95・5メートルをそろえ、252・7点で初優勝した。
昨季以降に出場したW杯個人計43試合で、トップ10を外れたのは4度だけ。抜群の安定感を誇る葛西が大舞台でめったにない失態を演じた。主要大会で2回目進出を逃したのは2年前の世界選手権以来。踏み切りでミスし「やっちまった。昔の悪い癖が出た」と苦笑いを浮かべた。
助走で踏み切りのタイミングを合わせやすくするためにやや尻を上げた結果、重心が前がかりになり、飛び出した直後にスキーが下がってしまった。K点を3・5メートルも下回った。
遠征に体重計を持参し、100グラム単位で自分の体を管理しているが、この日の朝は想定より約2キロも軽い57・8キロだった。体重が関わるスキーの長さ規定で失格にならないため、昼食を多めにしたり、水分を取ったりしているうちに「焦りが出てきた」という。朝晩のイメージトレーニングで強化してきた精神面にも狂いが生じていた。
ただし横川ヘッドコーチは「深刻なミスではない」と挽回は十分に可能とみている。葛西はショックを振り払うように「もう一回、仕切り直して頑張る」と強い口調で言った。