17歳宮原知子、初出場で堂々の銀
「フィギュアスケート世界選手権」(28日、上海)
女子で初出場の宮原知子(17)=大阪・関大高=が自己ベストを大幅に更新する合計193・60点で銀メダルに輝いた。昨年12月の全日本選手権で初優勝した宮原は休養中の前回女王、浅田真央が不在だった大舞台で、次の日本女子のエースに名乗りを上げた。女子日本勢は10大会連続の表彰台。
ひときわ小さな新エースの誕生だ。深紅の衣装をまとった宮原が、世界の表彰台に立つ好演。初出場での銀メダルは、16歳だった浅田真央に並ぶ快挙だ。
「表彰台に乗るのも難しいと思っていたので…。2位はビックリだし、フリーでも自己ベストを更新できた。すごくうれしいです」
演技後は喜んだが、銀メダルが決まった瞬間は表情をほとんど変えず、せわしなく荷物をバッグに詰め込んだ。「自分の中ではすごくうれしかったんですが」。控えめな宮原らしい一幕を見せた。
冒頭の3連続ジャンプをきっちり決め、勢いに乗った。2月の四大陸選手権に続き後半の3回転ルッツは回転不足になり、右手をついた。「また失敗しちゃったな」。そう、おどけたが、ミスはこの1つのみに抑えた。
身体能力に恵まれていない宮原は、努力で上り詰めたスケーターだ。浜田美栄コーチは「すごく、のみ込みが早いわけでも、適応力があるわけでもない。本当に努力で上がってきた子」。練習に打ち込み過ぎるため、強制的に温泉で休養を取らすほどだと明かす。
欠点は照れ屋でおとなしい性格。「カラオケで大きな声で歌わせてきた」と浜田コーチ。荒療治で改善されつつあるが、「まだ顔の表情が控えめ。オフにはパントマイムをやらせてみようかな」。さらに一皮むけるための方策も練っている。
世界2位に立ち、日本女子で実力が頭一つ抜けることは証明した。宮原は「これまで勝てなかったロシアの強い選手にも勝てた。それはすごく自信になる。これからがスタートと思って、また頑張りたい」。謙虚な17歳が、自信を背に大きく羽ばたく。