羽生、連覇ならず 五輪王者が崩れる
「フィギュアスケート世界選手権」(28日、上海)
男子はショートプログラム(SP)で1位だったソチ冬季五輪金メダルの羽生結弦(20)=ANA=がフリーで逆転されて合計271・08点の2位となり、日本選手初の2連覇はならなかった。ハビエル・フェルナンデス(スペイン)が273・90点で初優勝。
五輪王者が崩れた。羽生は冒頭の4回転サルコーが抜けて2回転に。続く4回転トーループは激しく転倒。まさかのミスを連発し、SP2位のフェルナンデスに逆転を許した。
「4回転の両方を決めることができなかった。正直、悔しいです」。演技後は両膝に手をつき、ライバルの得点を見ると両手をたたいて祝福。潔く敗戦を受け入れた。
何かが狂ったのか。1月末に痛めた右足首には今もテーピングを施す。「影響は全然ない」。そう強調していたが、本格的な練習の再開は3月初旬。感覚も含め、万全な状態に戻すには短すぎた。
昨年11月のグランプリ(GP)シリーズ中国杯で負傷した因縁のリンク。衝突した中国の閻涵と再び同組になったが、直前練習は危なげなく滑走。流血の記憶は振り払ったが、日本初の連覇を刻むことはできなかった。
「五輪の次のシーズンが大事。昨季は偶然じゃなく、実力で勝ったと思われたい」。五輪王者が翌シーズンのGPファイナルを制したのは史上初。だが、シーズンの最後に高い壁が待っていた。
まだ世界国別対抗戦(来月16日開幕、東京)は残すが、個人での戦いは終幕。「みなさんの前で、特にこのリンクで最後まで滑ることができて、良かったと思う」。敗北は、きっと羽生を強くする。