照ノ富士、大関昇進消滅 白鵬に完敗
「大相撲夏場所・11日目」(20日、両国国技館)
関脇照ノ富士は横綱白鵬に左からの上手出し投げで敗れて3敗目を喫した。「白鵬に勝っての13勝以上」というノルマを果たせず、今場所後の大関昇進が消滅した。白鵬は自身の記録を更新する50場所連続の2ケタ勝利で、平幕の魁聖とともに1敗を守った。2敗で追うのは大関稀勢の里と平幕の高安。横綱日馬富士は勝ち越した。
照ノ富士は立ち合いで思い切りぶつかっていったが、白鵬に左から張られて、あっという間にモロ差しを許してしまった。左のまわしを取ろうとしたものの、逆に横綱に右のかいなを返されてしまう。懸命の右差しも中途半端で、半身の苦しい体勢。最後は右手で頭を押さえられて、左からの上手出し投げで転がされた。
春場所は4度目の対戦で初めて白鵬を破り、今場所も破れば大関がグッと近づくはずだった。過去、白鵬が横綱に昇進してから関脇以下の力士に連敗したのは、日馬富士(当時安馬)、稀勢の里、琴奨菊、鶴竜、豪栄道の5人だけ。全員が大関以上に上がっており、照ノ富士が6人目の“白鵬連破”を達成していれば、昇進確率100%の当確ランプがともるところだったが…。
取組前、花道を通って土俵下に向かう途中に、観客から右腕を触られるハプニングもあった。取組に影響したかは分からないものの、出番前に気合と集中をそがれた形だ。
見せ場なしの完敗に北の湖理事長(元横綱)は、「3敗はもう厳しい。(大関昇進は)優勝してから出てくる話だから」と断言。支度部屋に引き揚げてきた照ノ富士も「もう無理やな。上がんないな」と肩を落とした。
事実上、今場所後の昇進は消滅した。とはいえ、名古屋場所につなげるためには白星の上乗せが必要。「あと4番あるから」と必死に前を向いた。