怪物サニブラウン“ボルト超え”で2冠
「陸上・世界ユース選手権」(19日・コロンビア・カリ)
男子200メートル決勝が行われ、100メートルを制したガーナ人の父を持つサニブラウン・アブデル・ハキーム(16)=東京・城西高=が、03年大会のウサイン・ボルト(ジャマイカ)の20秒40を上回る20秒34の大会新記録をマークし、2冠を達成した。同タイムはユース世界歴代2位で、日本高校新記録。8月の世界選手権(中国・北京)の参加標準記録(20秒50)もクリアし、追加での代表入りが濃厚となった。
日本の“怪物”が世界を震撼(しんかん)させた。サニブラウンはコーナー途中で先頭に立つと、向かい風を切り裂き、粗削りなフォームのまま、他をグイグイ引き離していった。ボルトの大会記録を塗り替える20秒34でゴールを駆け抜けると、両手の人さし指で天を指し、ガッツポーズ。日の丸を揺らしながらウイニングランをした16歳は「金メダル2つは期待通りの結果」と胸を張った。
驚異の成長力だ。6月の日本選手権でマークした20秒52の自己ベストを1カ月で大幅に更新。世界選手権の参加標準をクリアし追加での代表入りに“当確”ランプを灯した。
指導する山村コーチは「まだ周りの子たちと同じような練習しかさせていない」と話す。「僕はもっと大きなことを成し遂げたい。五輪の金メダル、世界新記録。そのための大きなステップになった」と“人類最速の男”ボルトの世界記録更新も視野に入れる高校2年のスプリンターが末恐ろしい潜在能力を世界に示した。