香生子、涙の金 恩師竹村コーチに感謝
「水泳世界選手権」(7日、ロシア・カザニ)
競泳女子200メートル平泳ぎの渡部香生子(18)=JSS立石=が2分21秒15で優勝し、来年のリオデジャネイロ五輪の代表権を獲得した。今大会の日本勢では、6日の女子200メートルバタフライを制した星奈津美(ミズノ)に続く2人目の快挙。渡部は200メートル個人メドレーでも2位に入っており、今大会2つ目のメダルとなった。
トップで壁にタッチして笑顔を見せた渡部の頬を涙が伝った。観客席の竹村吉和コーチを見つけた瞬間、金メダルの達成感と重圧からの解放感が同時にこみ上げた。レースから1時間後のサブプールで再会すると、また涙をこぼしコーチの首に金メダルをかけた。
「(竹村)先生とこうしてやるようになって、自分の考え方も水泳に対する取り組み方もすべてが変わりました。いろいろな人に感謝したいと思うんですけど、やっぱり一番は先生にという思いです」。同じ200メートル平泳ぎでB決勝(9~16位決定戦)最下位になった2年前の日本選手権後にコンビを組み始め、どん底から金メダルに導いてくれた。
この日のレース展開も竹村コーチの予想が的中した。最大のライバルは世界記録保持者のペデルセン(デンマーク)。事前にデータを分析した竹村コーチは「リッケ(ペデルセン)は最後の50メートルで落ちてくる。ピッタリついていって最後に差そう」と指示を出した。
スタートから飛び出すペデルセンに150メートルで0秒88の差をつけられるが、そこから一気に差を詰めた。ペースが鈍る相手を残り25メートルで捉え逆転、最後は1秒61の差をつけてゴールした。
「先生と話していた通りのレースができた。今は本当にすごく満足。先生にはありがとうございますと言いたい」。自分のことを深く理解してくれる人がいるなら代表に内定したリオ五輪でも心強い。「しっかり準備期間ができた。本当に悔いなくリオに向かいたい」と誓う渡部。決勝にすら進めなかったロンドン五輪から4年後、2度目の五輪は師匠と一緒に金メダルをつかんでみせる。