野村引退 五輪3連覇の天才柔道家

 五輪の柔道男子60キロ級で3連覇を果たした野村忠宏(40)=ミキハウス=が24日、自身の公式サイトで、29日の全日本実業個人選手権(兵庫県尼崎市ベイコム総合体育館)を最後に現役引退すると発表した。31日に記者会見をし、引退理由などを説明する。

 前人未到の五輪3連覇を達成した不世出の天才柔道家が引退を決意した。野村は公式サイトで「8月29日に出場する全日本実業柔道個人選手権大会で引退する事を決めました。現役最後の勝負、精一杯戦います。応援よろしくお願いします」とコメントした。

 96年アトランタ、00年シドニー、そして04年アテネと3大会連続で五輪を制した。しかし、その後は07年に右膝前十字靱帯(じんたい)を断裂するなど度重なる故障に見舞われた。「もう一度、納得できる状態で柔道をしたい」と現役にこだわり続けたが、すでに体力の限界は超えていた。13年に右肩を負傷。昨年10月には左膝の手術も受け、40歳にして、ついに畳を去ることになった。

 まさに柔道をするために生まれてきた男だった。実家に隣接した道場の師範は祖父だった。父は後に進学する奈良・天理高監督で、叔父の豊和氏は五輪王者と、柔道一家で育った。子どものころは女子にも投げられ、初の全国大会出場は高校3年のインターハイ。目先の勝利よりも、正しく組んで投げる柔道に徹することで天性のセンスが磨かれた。得意技は背負い投げ。醸し出す存在感や勝負強さは圧倒的で、技の切れ味は天下一品だった。

 日本代表として一緒に闘った井上康生・日本男子監督は「自分がチャンピオンだとしんから信じていた人。オーラが全身からバーッと出ていた」と評した。

 将来は指導者の道も志向する。恩師で84年ロサンゼルス五輪覇者の細川伸二氏は「ただ強かっただけではない。バランスを保ったまま投げ、手技、足技と何でもできた。ああいう天才が教えることが日本柔道にとって大切」と話した。

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