海老沼まさかの一本負け4連覇の夢散る

 「世界柔道選手権」(25日、カザフスタン・アスタナ)

 男女各1階級が行われ、男子66キロ級で日本男子最多に並ぶ4連覇を目指した海老沼匡(25)=パーク24=は、3回戦で60キロ級の元世界王者、リショド・ソビロフ(ウズベキスタン)に大内返しで一本負けし、敗退した。高市賢悟(東海大)は1回戦で敗退。66キロ級で日本勢が優勝を逃すのは、メダルに届かなかった2009年大会以来となった。

 海老沼が宙を舞い、畳にたたき付けられた。まさかの光景に場内はどよめく。日本男子最多に並ぶ4連覇が消滅した瞬間だった。「結果が出なかったのが事実。受け止めなければいけない」と努めて冷静に話した。

 3回戦は強敵のソビロフ。右足でケンケンしながら左大内刈りで攻めたが、返されて一本負け。「あそこが勝負だったが(合わせる)胸が少しずれていた」と分析した。個人戦で外国勢に敗れるのは、銅メダルだったロンドン五輪以来となる。

 悲壮な決意で偉業に挑んでいた。4月に痛めた左肩が回復した7月下旬。天理大での合宿最終日に左足首を負傷した。当初は自力で歩くのも困難で、8月上旬には担当コーチから出場辞退を打診されたほど。だが「僕の頭の中に棄権はよぎりもしなかった。もうやるしかないと腹をくくった」と明かす。

 急ピッチの調整では激戦階級を勝ち抜けず、日本男子の井上監督も「足の状態が良ければ、大内返しもぎりぎり残せたかもしれない」と悔やんだ。

 初出場の2010年は3回戦敗退。悔し涙の翌年から連覇は始まった。「僕は負けて強くなる。立ち止まっている暇はない」。無念を晴らすのは、悲願の五輪金メダルしかない。

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