大野、ライバル中矢破り王座奪還
「世界柔道選手権」(26日、カザフスタン・アスタナ)
男女各1階級が行われ、男子73キロ級は一昨年覇者の大野将平(23)=旭化成=が、決勝で2連覇を狙った中矢力(ALSOK)に優勢勝ちし、2年ぶり2度目の優勝を飾った。
中矢と激しい五輪代表レースを続ける大野は悲壮な覚悟で今大会に臨んだ。「優勝じゃなければ僕は終わり」。母校・天理大の恩師、細川伸二氏ら周囲にも不退転の決意を伝えた。有言実行だ。
初戦から大外刈りや裏投げで次々と一本勝ちした。決勝は1分半すぎに右の大外刈りから左の小外刈りに変化。技ありを奪った。「1試合5分間で全てを出し尽くそうと思った」と胸を張った。
世界一になった直後に部内暴力事件が発覚し、3カ月の登録停止処分を受けた。昨年は汚名返上に気負い、オーバーワークに陥って4回戦敗退。ブロック注射を打つほど腰痛に苦しんだ6月は出場予定の国際大会を回避した。
「(五輪代表争いをリードしたつもりは)全くない。最後まで自分の柔道を貫いていく」。23歳の若武者が五輪へと突き進む。