谷井「銅」日本競歩悲願の初メダル!
「陸上世界選手権・男子50キロ競歩」(29日、北京)
32歳の谷井孝行(自衛隊)が3時間42分55秒で銅メダルを獲得。来年のリオデジャネイロ五輪陸上の日本代表第1号に決まった。競歩種目では五輪、世界選手権を通じて日本勢初の表彰台。不振の日本に今大会初のメダルをもたらした。
ゴールの直後、谷井は膝をついてトラックに崩れ落ちた。精根使い果たした、長い長い50キロ。その先には日本競歩界にとって世界大会初のメダルが待っていた。立ち上がって日の丸に身を包む。「3位に食い込めて良かった。ベストのパフォーマンスができた」。北京の風が心地良かった。
優勝したトート(スロバキア)がスタートから飛び出す。続く集団の中には、同じ自衛隊体育学校所属で5歳下の荒井もいる。「2人でメダルを目指して行きましょう」。五輪種目でもっとも長い距離を行く過酷なレース。だが一人ではない。力がわいた。残り5キロをきってスピードアップ。最後の力を振り絞り、3位フィニッシュとなった。
富山県滑川市出身。高岡向陵高2年時に、世界ユースの1万メートルで銅メダル。2003年に初挑戦した50キロで、当時の日本最高をマークした。3度の五輪出場と合わせ、今回が9度目の世界大会挑戦だった。
今大会、ここまで入賞すらなかった日本勢に、ようやく明るい話題を届けることができた。そして、自身4度目となるリオデジャネイロ五輪への切符も手に入れた。前回のロンドン五輪の50キロで途中棄権した瞬間、「リオではメダルを取る」と覚悟を決めたという。
「メダルを目指してしっかりとやっていきたい」。1年後を見据える目に鋭さが増した。