野村引退、指導者へ 海外オファーも

 柔道男子60キロ級で五輪3連覇を果たし、8月29日の全日本実業個人選手権を最後に現役引退を表明していた野村忠宏氏(40)=ミキハウス=が31日、大阪市内で会見を行った。現役引退は苦しみ抜いての決断だったと打ち明けた。今後は未定ながら、20年東京五輪も視野に、後進を指導する道へ進んでいく。

 すがすがしいほど表情は明るい。120人の報道陣を前に、引退会見に臨んだ野村氏は、3つの輝くメダルを下げて壇上に立った。「私、野村忠宏は8月29日をもちまして、現役を引退しました」

 29日の集大成の舞台には、両膝と右肩に痛み止めの注射をうち、座薬を投与して上がっていた。「俺には心の限界はないと感じた。ただ現実として、体の限界」。早くから体は悲鳴をあげていたが、「最後、畳に立たずして去っていくのは自分らしくない」という思いに駆り立てられた。

 「いろんな経験をし、乗り越えてきた。感じたことをこれから世界を目指す若い選手に伝えていきたい」。今後は指導者としての道を模索する。既に欧州や北米など5、6カ国からオファーが届いているという。そして「自分を成長させてくれた五輪が5年後は東京である。何らかの形で関われたらうれしい」と夢も語った。

 「情けない、惨めで弱い姿をさらしてもいい。ただ、自分の思いを貫く強さ、それを持っているヤツがかっこいいのかなって」。近い将来、その矜持(きょうじ)を伝授された“野村二世”が必ず出現する。

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