ネットユーザーは喜びの声「大勝利」

 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は1日、ベルギー・リエージュ劇場のロゴとの類似が指摘され、批判が高まっていた佐野研二郎氏(43)デザインの大会エンブレムの撤回を決定した。

 「大勝利」「感動の一瞬」。エンブレムの使用中止を受け、ネット上にはユーザーの喜びの声があふれた。ベルギーの劇場ロゴに端を発した一連の盗作疑惑は、ネット上の指摘がリードする形で規模を拡大。国家的事業をめぐる組織決定を覆す事態に発展した。

 「マスコミの世論調査と比べ、世論を瞬時に可視化するネットの強みが出た。画像検索で疑惑の画像が発掘され続けたことも大きい」とネットニュース編集者の中川淳一郎氏。エンブレム使用に巨額の協賛金を払ったスポンサー企業にも「ネットの怒り」は脅威だったはずだと推測。「使用中止の裏には営業への悪影響を嫌う企業の圧力もあったのだろう」とみる。

 ネットに詳しいジャーナリストの津田大介氏は「著作権の知識を欠き、プロとは思えない佐野研二郎氏周辺の仕事ぶりが“大炎上”を招いた」。結果として、市井の人々が公的なデザインの検証に参画できた点を評価し「ネットでなければ、ここまで大きな動きにならなかった」と話す。

 一方で「盗用か、偶然の類似かを一般人が判断するのは困難」として、佐野氏に全責任を負わせるようなネット言説には疑問を呈する。「デザインの信頼性を担保するのは本来、大会組織委員会であり審査委員であるはず。その責任も同時に問われる必要がある」

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