五輪エンブレム白紙撤回で損害賠償も
2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の布村幸彦副事務総長は2日、衆院文部科学委員会で参考人として答弁し、公式エンブレム撤回に伴うスポンサー企業の損害に関し「法的には損害賠償の問題が出てくる」との認識を示した。遠藤利明五輪相は「大変深刻に受け止めている。今後、こうしたことが起きないよう組織委と連携を進めたい」と強調した。組織委はエンブレムの新しいデザインを幅広く公募する方針。
メーン会場の新国立競技場に続き、五輪のシンボルが相次いで見直される異例の事態は政治問題化。スポンサー企業への影響も広がり、賠償問題に拡大する可能性も出てきた。
責任の所在について遠藤氏が「組織委、審査委員会、デザイナー、三者三様の立場で責任があると思う」と述べたのに対し、民主党の笠浩史氏は「組織委の責任が最も重いと思うが、五輪相にも指導責任がある」と追及。維新の党の木内孝胤氏は「補償は相当な金額になる。損失以上に国の恥を世界にさらしてしまった」と批判した。
遠藤氏は新競技場の整備計画見直しについて「プロセスの透明化を図る。日本の伝統文化と最新技術を発信する拠点として国内外に愛されるよう努める」と表明。新たなエンブレムの選考方法に関しても「透明性を保つことが最大のポイントだ」と述べた。
布村氏は「招致段階のエンブレムを作った方にも参加してもらい、できるだけオープンに公募したい」と説明した。
エンブレム撤回を受け、みずほフィナンシャルグループは2日、HPに掲載していたエンブレムの使用を中止。五輪スポンサーの日本企業21社のうち、三井不動産や日本航空などもHP掲載を既に取りやめている。
菅義偉官房長官は記者会見で「(撤回の)判断を尊重したい。大会組織委員会は一連の事案を真摯(しんし)に受け止めて国民に祝福される大会になるよう、しっかり対応してほしい」と述べた。