登坂V3達成、初の五輪切符を確保
「レスリング・世界選手権」(9日、ラスベガス)
女子48キロ級では登坂絵莉(22)=至学館大=が3連覇を達成し、初の五輪切符を確保した。「リオで金メダルを取る目標のためにもっともっと努力したい」と来年の大舞台へ意気込んだ。同69キロ級で、昨年2位の土性沙羅(20)=至学館大=は準々決勝で敗れたが、敗者復活戦、3位決定戦と競り勝って事実上の五輪切符を勝ち取った。
決勝の第2ピリオド終盤、2点を追う登坂は残り時間を冷静に計算していた。相手は堅守で五輪銀メダルをつかんだ強豪。「一発で点を取るしかない」。千載一遇のチャンスをうかがった。
準々決勝で腰を痛め、思うような動きはできなかったが、最後に仕掛けた。狙い澄ました左からのタックルで背後を取って残り約10秒で同点、内容差でリードを奪う。相手の抗議が認められず、さらにポイントが加算され、3連覇と事実上の五輪初出場が決まった。
序盤に武器である左からのタックルを簡単に阻まれた。「他のどの選手とも比べものにならないほどの圧力。相手を疲れさせて、再逆転できない終盤に点を取るしかない」と守備的な試合運びに切り替えた。右へ、右へと回りながら相手の攻めをかわし、時計の確認を続ける。終了が近づき、相手が時間稼ぎに出るタイミングを突いた。
一見「奇跡」の大逆転も、実は描いたシナリオ通りだった。五輪「金」へ期待が膨らみ、屈指の戦略家は「スタドニクは悔しそうで、猛練習してくる。この勝ち方は、次は使えない」。歓喜の表情の下で冷静に次を見据えた。