桐生、流して10秒30 上々の再発進
「陸上・日本学生対校選手権大会」(11日、ヤンマースタジアム長居)
男子100メートル準決勝などが行われ、右太もも裏の故障から3カ月半ぶりの復帰戦となった桐生祥秀(19)=東洋大=は、準決勝で全体1位の10秒30(追い風0・5メートル)をマークし、12日の決勝進出を決めた。この日は400メートルリレー予選を含め、計3レースに出場したが、足の不安を感じさせない軽快な走りを披露。復活に向け、上々の再スタートを切った。
ようやく戦いの舞台に戻って来られた喜びがあふれ出た。3カ月半ぶりとなる復帰戦初日、3レースを終え、桐生は目を輝かせながら言った。「やっぱり見るより走る方がおもろい」。準決勝では終盤を流す余裕を見せながら、全体1位で決勝進出を決めた。現役日本最速スプリンターとしての存在感を、しっかりと見せつけた。
昨年のアジア大会、今年の世界選手権と故障で出場を逃した。世界選手権は「じっくり見る気にはなれなかった」と話す。憧れのボルト(ジャマイカ)の圧倒的な勝負強さに、同学年のブロメル(米国)の銅メダルに、そして、3学年年下の世界ユース王者サニブラウン(東京・城西高)の台頭に刺激と同時に焦りも感じた。
「あと1回けがをしたら、(リオ五輪は)終わり」と覚悟して取り組んだのは、けがをしない体づくり。土江コーチが日本代表への帯同で不在の中、桐生自身のセンスで練習メニューを組んだ。坂道ダッシュを多く取り入れ、筋力を強化。スパイクのピンも従来の8ミリより短い5ミリにし、地面をしっかり捕らえる感覚を養っている。
12日の100メートル決勝では世界選手権のリレー代表だった長田、大瀬戸の法大勢らライバルたちと激突する。「けがなく走り終えることが1番」と前置きした上で、「日本で勝てないと世界で勝てるわけがない。(リオ五輪の参加標準)10秒16は目指します。自己ベスト(10秒01)近く狙いたい」と、闘志をみなぎらせた。再び世界の舞台に飛躍するために、学生No.1スプリンターの称号を復活ののろしとする。