内村3冠鉄棒でも「金」
「体操・世界選手権」(1日、グラスゴー)
種目別決勝の後半5種目が行われ、鉄棒は内村航平(26)=コナミスポーツク=がG難度の離れ技「カッシーナ」を決めるなど15・833点で初優勝した。史上最多6連覇の個人総合、団体総合と合わせて今大会3個目の金メダルで、日本選手最多の通算獲得メダルは金10、銀5、銅4の計19個となった。女子床運動で宮川紗江(16)=セインツク=は4位だった。
E難度の「屈身コバチ」で高々と宙を舞い、団体総合決勝で落下したG難度の「カッシーナ」も完璧に成功させた。大会を締めくくる種目別決勝の鉄棒。内村はオールラウンダーでありながら、種目別でも世界の頂点に立てる無限の能力を見せつけた。「最後の最後に自分の演技ができた。自分の体操の美しさを表現できた」。柔らかな表情に、達成感がにじんだ。
「疲労で体は意味の分からない状態になっていた」という。それでも、個人総合決勝で回避した「カッシーナ」の雪辱に燃え「美しくないと周りに影響を与えられない」と完成度にもこだわった。「世界一の選手として率先してやっていくべきことを示せた」と誇りつつ、最後の着地がわずかに動いて「まだ満足できない」と満点をつけないところが内村らしい。
26歳になった王者の演技は世界を魅了し続け、その美学で体操界をリードする。最大の目標となるリオデジャネイロ五輪を前に「自分たちがやってきたことは間違いじゃない」とあらためて確信できた。「五輪では3回以上、君が代が聞けるように頑張りたい」。来年8月、「伸身の新月面(2回宙返り2回ひねり)」の着地を決めて歓喜するイメージは、もうできている