「神戸新聞社共催・神戸マラソン・女子」（１５日、神戸市役所前～明石海峡大橋たもと折り返し～ポートアイランド着＝４２・１９５キロ）

　女子は２０歳の大学２年生、一般参加の杉谷優衣（神戸学院大）が２時間４２分１秒で初優勝。マラソン初完走で初の頂点に立った。男子は２時間１８分１秒で鈴木忠（２７）＝スズキ浜松ＡＣ＝が大会初制覇を果たした。フルマラソンは１万５７４９人、クオーターマラソン（１０・６キロ）は２０３９人が参加した。

　ピンク色のシューズの左足は、真っ赤な血で染まっていた。３０キロ付近でつぶれた左足のマメ。「痛くて痛くて。でも、我慢していたらわからなくなった」。手負いの状態で未知の領域、３０キロ過ぎに先頭集団を抜け出した。杉谷は「まさか優勝できるとは」と童顔をほころばせた。

　神戸学院大女子駅伝競走部では１年から駅伝メンバー。それでも中学、高校を通じて表彰されたのは「今回が初」という無名の新星だ。実質的には“初マラソン”。今年１月の大阪国際女子マラソンに出場したが、１０キロ付近で右足を痛めて棄権した。リベンジを期した地元神戸で、初載冠までしてみせた。

　１５０センチと小柄だが、腕を大きく振って上体を揺らしながら走る姿は豪快そのもの。過去にもフォーム修正を助言されたというが、そのパワフルさも魅力だ。「マラソンの魅力はゴールの達成感。もっと速く走れたらいいな」。のびしろの大きさは無限大。東京五輪へつながる可能性も秘めている。