五郎丸九州凱旋 キック5本全て成功
「ラグビー・トップリーグ、ヤマハ発動機38-28コカ・コーラ」(6日、うまかな・よかなスタジアム)
B組のヤマハ発動機はコカ・コーラを38-28で下し、開幕4連勝で首位を守った。日本代表のFB五郎丸歩(29)が5本のゴールキックをすべて成功。ただ、兄・亮(31)との兄弟対決は実現しなかった。熊本市のうまかな・よかなスタジアムには試合開始5時間前の午前6時半ごろから約30人が列をつくり、観客は今季最多の1万8005人が詰め掛けた。
プレースキックのルーティンをまねる人がスタンドに幾人もいた。ハーフタイムにはウエーブまで自然発生。注目の『五郎丸ブラザーズ対決』こそ実現しなかったものの、肥後の地もラグビー熱の高まりに包まれた。
後半27分、兄との対決が実現しないまま、歩が交代した。09年10月10日の近鉄戦以来6年ぶりの途中交代だった。ただ、九州への“凱旋試合”を待ちわびていた大観衆は、それだけでどよめいた。
観客数1万8005人は今季のトップリーグ最多。07年2月のプレーオフファイナル・東芝-サントリー(秩父宮)の2万3067人に次ぐ史上2位の動員数となった。
五郎丸自身は退くまでに仕事をきっちりこなした。前半チームは5トライを奪い、その後のコンバージョン5本をすべて決めた。「自分の責任はしっかり果たせたと思う」。1学年上の兄に出場機会はなく、その点に関してだけは「非常に残念」と視線を落とした。
不慣れな途中交代には「最後の20分出ていないとこんなに楽なものなんですね」と、冗談めかして楽しんだ。
五郎丸フィーバーはまだまだ収束の気配すらない。前日5日は空港に大勢のファンが殺到。この日は、花園出場を決めている母校・佐賀工の後輩たちも「感動をありがとう」との横断幕を掲げて応援に駆けつけた。
「福岡出身で、高校は佐賀。宮崎では日本代表合宿もあった九州には特別な感情がある。少し空回りしたが、いいパフォーマンスが出せた」。最後はとびっきりの笑顔が弾けた。